ここ数年の株式市場は米国株も日本株も市場全体が右肩上がりに上昇し、個別株も上昇している銘柄が多かったのですが、最近は急激な株価下落があり、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
特に新NISAが始まってから投資を始めたという方であれば、含み益がそれほど多くないため、日に日に資産額が減少していくのを目の当たりにすると、尚更心配になるかと思います。
私の行っている長期投資は、短期的な下落に惑わされずに、どんな時でも淡々と投資活動を継続していくことで、長期的な成長にかける投資手法です。
長期投資にとっては、下落相場においても、慌てずに、腰を据えた投資活動を継続することが大事ですが、今回のように大きな下落があると特に経験の浅い投資家さんにとっては自分の資産が減ってしまうのではないかと心配になり、焦ってしまいますよね。
長期投資を続けていくためには自分の中で納得感を持った投資に関する考えを整理しておくことが大事だと思います。
今回の記事ではそんな考えの基礎となる、株価下落の要因と、その対策について解説します。
株価下落の要因
株価が下落する要因は多岐にわたりますが、主な要因として以下の点が挙げられます。
業績の悪化
企業の業績が予想を下回る場合、投資家の信頼が失われ、株価が急落することがあります。
特に成長の期待が高かった企業で、決算発表の際に業績予想が大幅に修正されると、株価に大きな影響を与えます。
例えば、不動産関連銘柄などは金利が上がることで、支払う利息が増えるため、業績悪化の懸念から株価の下落が続いています。
市場全体の動向
市場全体の動向も個別銘柄の株価に影響を与えます。
例えば、経済不況や金利の上昇などが市場全体の株価を押し下げることがあります。
最近では日銀が0.25%の利上げを発表したことで、1ドル160円近くだった為替が、1ドル150円を割り込む程の大幅な円高となりました。
円が高くなるということは海外に輸出を行っている企業にとって、例えば100ドルで売れた場合に16,000円の売り上げだったものが、15,000円の売り上げに減少してしまうので利益率を大幅に圧迫してしまいます。
優良と言われているような企業の利益率であっても10%程度なので、この差は非常に大きいものになります。
これにより、企業自体の活動は変わっていなくとも、企業の価値・稼ぐ力が低く見積もられるため、株価の下落へとつながっていきました。
為替の影響など、株価下落には企業自体の努力だけでなく、政治的な側面や金融的な側面により市場全体が下落することがあります。
不正行為の疑惑・発覚
コンプライアンスに反する行為やインサイダー取引の疑惑が浮上すると、投資家の信頼が失われ、株価が急落することがあります。
法律やサービス利用者の期待を裏切るような、良識に反するような行為をする企業のサービスを利用したいと思う方は少ないでしょう。
たとえ、その行為が短期的に好決算をあげられたとしても、このような企業は構造的・企業内文化的に問題を抱えている可能性が高く、根本的な解決がされなければ、投資家からはリスクとしてとらえられ、企業の成長につながることは難しくなるため、このような問題を抱えている企業への投資は避けた方が良いと思います。
外部要因
自然災害や政治的不安定など、企業の業績とは直接関係のない外部要因も株価に影響を与えることがあります。
直近での大きな出来事としては、新型コロナウイルスで経済活動の停滞を懸念し、市場全体が大幅・急激な下落に転じたことや、ウクライナ戦争による株価下落・エネルギー関連銘柄や軍需関連銘柄の上昇など、世界の政治動向などに応じて、私たちが考える以上に市場は速やかかつ、ダイレクトに反応してきました。
ただ、この瞬間は一瞬で大きく変動するため、タイミングを見計らって投資するためには経験が必要になるとともに、いざその時が来た時に思い切った行動を取れる胆力が必要になります。
私もコロナウイルスで大きく下落した際に勇気をもって投資額を増やしたことで、資産額を大きく伸ばすことができました。
最近は急激な株価下落が話題になっていますが、新型コロナウイルスの時のいつ下落が収まるか分からない状況を経験してきたので、今の下落程度であれば調整局面と捉え、冷静に対処ができています。
といっても、やっていることは株価を気にせずに淡々と積み立て投資を継続し、あとは自分のやるべきことをやっているだけですが(笑)
最近の株価下落銘柄
現在の市場で注目される株価下落銘柄をいくつか下落した理由と併せて紹介していきます。
エーザイ(4523)
製薬業界の大手企業で、21.57%の下落率を記録しています。
現在値は5,473円です。
エーザイの株価下落の主な要因は、米バイオジェンと共同開発しているアルツハイマー型認知症治療薬「レカネマブ」に対する期待がしぼんだことです。
特に、競合企業イーライ・リリーの同様の薬「ドナネマブ」がFDAの外部専門家諮問委員会で承認勧告を受けたことが大きな影響を与えました。
これにより、エーザイの市場シェアが脅かされる可能性が高まり、投資家の不安が増大しました。
ランド(8918)
不動産関連企業で、11.11%の下落率を記録し、現在値は8円です。
ランドの株価下落は、不動産市場全体の冷え込みや金利上昇の影響を受けた可能性があります。
特に、金利上昇は不動産投資のコストを増加させるため、不動産関連企業にとっては逆風となります。
エコナビスタ(5585)
環境関連企業で、49.30%の下落率を記録し、現在値は1,630円です。
エコナビスタの株価下落は、環境関連企業としての市場期待が高まりすぎていた可能性があります。
具体的な業績悪化の情報は少ないものの、投資家の期待が現実に追いつかない場合、株価が調整されることがあります。
このように成長の期待が大きいものの、具体的な収益に結び付いていない銘柄は何かのきっかけで大幅な下落へとつながることがあります。
日立建機(6305)
建設機械メーカーで、28.43%の下落率を記録し、現在値は3,439円です。
日立建機の株価下落は、世界的な建設需要の減少や原材料価格の上昇が影響していると考えられます。
特に、新興市場の経済成長が鈍化する中で、建設機械の需要が減少していることが要因となっています。
日本パレットプール(4690)
物流関連企業で、27.58%の下落率を記録し、現在値は1,872円です。
日本パレットプールの株価下落は、物流業界全体の動向や経済活動の変動に影響されている可能性があります。
特に、物流コストの上昇や供給チェーンの混乱が企業の収益に影響を与えていると考えられます。
株価下落時の対策
株価が下落した場合、投資家はどのように対応すべきでしょうか。
以下にいくつかの対策を紹介します。
冷静な判断
株価が下落した際には、冷静に状況を分析し、感情的な売買を避けることが重要です。
短期的な価格変動に振り回されず、長期的な視点で投資を続けることが推奨されます。
自分が長期的な成長にかける目的で投資をしているのであれば、短期的な株価の上げ下げに惑わされずに、企業分析を丁寧に行った上で投資を継続するか判断していくことが個別株投資を行う上で必要です。
また市場全体が下落しているタイミングでは資産額の減少を恐れて、投資額を少なくしてしまいがちです。
実際には、米国株全体は超長期的な視点で見れば過去上昇を続けてきており、今が投資すべきタイミングだと思います。
下落の局面であっても、慌てず動じず、淡々とこれまで通りに定期定額の積み立て投資を心がけていくことが資産を伸ばす上で大切な考えになってきます。
また、自分のリスク許容度の中で投資活動を継続していくことも大切です。
最悪、投資額が半分に減ったとしても耐えられる範囲内で投資活動を継続していくことが
分散投資
一つの銘柄に集中投資するのではなく、複数の銘柄に分散投資することでリスクを分散することができます。
これにより、一部の銘柄が下落しても、ポートフォリオ全体の影響を軽減することができます。
最近では優れた銘柄に分散された投資信託やETFがたくさんあり、簡単に購入できますので、個別株投資でリスクをとりすぎないよう、こういった銘柄に一定割合投じて置くのはリスク分散が図れるとともに、市場全体が下がっているから今は我慢の時と、いい意味でのあきらめにつながります。
このような時期を通じて次の株価成長のタイミングで、含み益という果実を手にすることができます。
情報収集
株価が下落した理由を正確に把握するために、企業の業績や市場の動向に関する情報を収集することが重要です。
信頼できる情報源からの情報を基に、適切な判断を下すことが求められます。
株価が下落した原因が市場全体のことなのか、個別銘柄によるところなのか、個別株であれば、収益の悪化要素はないか、企業の信頼は保たれているか、入念なチェックが必要になります。
まとめ
株価の下落は投資家にとって避けられないリスクの一つです。
しかし、冷静な判断と適切な対策を講じることで、そのリスクを最小限に抑えることができます。
市場の動向を常に把握し、長期的な視点で投資を続けることが成功の鍵となります。
普通の個人投資家の方であれば、株価上昇時にリスクを取りすぎないよう、現金と株式の比率でリバランス、下落時も淡々と積み立て投資を継続することだけでも、リスク分散につながります。
久しぶりに株価が少し大きく下げましたが、この記事が株式投資の一助になれば幸いです。