11月5日に投票が行われた米大統領選挙では共和党のトランプ氏が、民主党のハリス氏に勝利し、大統領に返り咲きする結果となりました。
トランプ氏が選出されたことは早くも株式市場に大きな影響をもたらしており、大統領当選確実となった11月6日にはS&P500が2.5%の大幅上昇するなど、米国経済にもたらす影響を投資家は好感したようです。
トランプ氏は法人税率の更なる引き下げ(21%→15%)などを公約しており、今後の株価の値動きに大きな影響を与えそうです。
このような大幅な株価の値動きをトランプラリーと呼びSNS界隈では米国株が爆騰するのではないかとにぎわっています。
一旦は株価の上下動も落着きを見せていますが、今後どのような値動きをしていくのでしょうか。
中長期的に株価が上がるのかは正式に大統領就任後の政策を受けてのものだとは思いますが、参考に過去の歴史を振り返ってみたいと思います。
2016年: トランプ氏当選後の「トランプ・ラリー」
2016年11月の米大統領選挙の時はトランプ氏が勝利したことで、大規模減税などの選挙口約が企業業績に良い影響を与えることを投資家が期待し、世界的な株価上昇へとつながりました。これはトランプ・ラリーと呼ばれ、米国の主要3指数が年末にかけて大きく上昇する結果となりました。
法人税の減税は企業活動を活発にし、利益率の高い事業運営につながります。また、多くの国の会社が法人税の安いアメリカで事業を行いたいと思うことで、米国内での経済活動が活発化し、株価の値上がりへとつながりました。
それまでは法人税率35%が25年間続いていましたが、トランプ大統領になり、21%へと引き下げられた影響は大きかったようです。
この時に改正された法人減税については、現在も引き下げられたままとなっており、今後トランプ大統領就任後にさらに法人税率が15%へと引き下げられるのではないかと好感され、米国株価が値上がりしています。
2017年: 税制改革推進で米国株が大幅上昇
前回のトランプ大統領の政権1年目である2017年は、中間所得世帯を中心とした減税や法人税率引き下げを柱とする税制改革が行われた結果、主要3指数は年間で2桁の上昇となりました。
S&P500の年間利回りが5〜7%程度と言われている中で、2桁成長というのは例年の2倍以上の驚異的な値上がりにつながったという結果になります。
特に情報技術セクターの上昇が顕著であり、アメリカのFANG(F: Facebook (現在のMeta)・A: Amazon・N: Netflix・G: Google (現在のAlphabet)のアルファベット頭文字を取ったもの)と呼ばれるような企業の急激な成長もこの頃から始まりました。
2018年: 米中貿易摩擦で株安
2018年はトランプ氏が対中強硬姿勢を示したことにより、米中貿易摩擦問題が株式市場の懸念材料となりました。
米国が中国の鉄鋼製品などに対して関税引き上げを宣言したことをきっかけに両国間の関税合戦が本格化したんですね。
両国が関税引き上げを行うことで物の値段が上がり、人々が消費行動を起こしにくい環境となることで企業の売上が鈍化するのではないかと投資家が懸念しました。これにより、米主要3指数はそろって下落しました。
2019年: 米中対立激化もFRBの利下げで株高
2019年は米中貿易摩擦が深刻化しましたが、FRB(アメリカの中央銀行)が7月、9月、10月と連続利下げを実施。その結果、米主要3指数は2桁の上昇となりました。
利下げというのは米国の短期金利の目標値を引き下げることで、企業や一般人の借金などの金利に大きな影響を与えます。
企業は借金をして新たな設備投資を行いますが、金利が低くなると借金して資金を確保した際に、返済総額が安くなるため、一般的に設備投資に積極的になる企業が増えてきます。これによりBtoBで取引をしているメーカーなどにとっては売上増要素となり、経済活性化につながるため、株価が上昇しやすくなります。
また、個人にとっての大きな出費である住宅の購入や車の購入時にはローンを組むことが一般的かと思いますが、この金利も引き下げられ、月々の返済額が少なることで、大きな買い物をしようと思う人が増え、消費が活発になります。
2020年: コロナ禍でハイテク株中心に上昇
新型コロナウイルスの世界的感染拡大により金融市場は混乱しましたが、大規模な経済対策と積極的な金融緩和により、米国株式市場は落ち着きを取り戻しました。急激な株価下落の直後に急激な株価上昇と激動の時期で、うまくうねりを取った方はこの時期にFIREされた方も多かったですね。羨ましい。。。
特にハイテク株中心のナスダック総合株価指数が強い上昇を見せました。
トランプ政権下の株価動向の特徴のまとめ
これまでの内容をまとめると以下のような特徴が過去に見られました。
- 減税政策や規制緩和への期待が株価上昇の原動力となりました。
- 米中貿易摩擦などの悪材料は、FRBの金融緩和政策で相殺される傾向がありました。
- 「トランプ・トレード」と呼ばれる、トランプ政権の政策から恩恵を受けると見込まれる銘柄への投資が株価を押し上げる要因となりました。
- ドル高・円安傾向が強まり、これも株価上昇の一因となりました。
トランプ政権下では全体的に株価は上昇傾向にありましたが、貿易摩擦や政治的不確実性による変動も大きかったことが特徴と言えます。
個人投資家にとっては上下動が激しく、特に暴落に動揺してしまう場面もあるかもしれません。
上手くうねりを取れる方はこの局面はチャンスと捉える方もいるかもしれませんね。
多くの方にとって、ご自身にとって適切なリスクをとり、投資活動を継続していくことが長期にわたって資産を増やしていくために大切なことだと思います。
長きにわたって投資活動を継続していけるよう、一緒に頑張っていきましょう。