最近は新しいNISAが話題になっていますが、税制優遇を受けられる制度にはiDeCoもあります。
目新しいネタがないからか、最近はあまり話題に上がらなくなりましたね。
NISAのメリットが利益に対して課税されないことに対して、iDeCoのメリットは複雑で分かりづらいと思う方も多いのではないでしょうか。
私もこれまでiDeCoはよく分からないと先送りにしてきましたが、自分にとってメリットがあるのか、ないのか、改めて検討してみましたので解説していきます。
結論から申し上げると、自分の場合はデメリットよりも所得控除(節税)メリットのほうが大きいと思い、iDeCoを始めることにしようと思いました。
今回はなぜそのような結論に至ったのか、解説していきます。
ただ、税金面でのメリットは多くの方が得られるものの、万人にとって良いとも思わず、資産額や現在の年収、将来もらえる退職金や年金の額、毎月の余剰資金など、各々の状況によっても変わってきますので、判断は変わってくると思います。
iDeCoのメリット
- 掛金が全額所得控除
- 運用益も非課税で再投資
- 受け取るときも大きな控除
- 退職所得控除 👉 一括で受取(一時金)
- 公的年金等控除 👉 定期的に受け取り(年金)
iDeCoは節税になることがメリットだとよく聞きます。
間違っているわけではありませんが、実際はもう少し複雑なのでこれだけを聞くと勘違いしてしまうような気がします。
iDeCoは掛金が全額所得控除になるため、現役で働いている拠出期間中は確かに節税になります。
ただ、受取るときに控除があるにせよ、元本+運用益の全てに対して課税されるため、どちらかというと課税時期を現在から将来に先送りにする制度だと思っています。
これが多くの方がiDeCoはよく分からないと感じられる理由だと思います。
もちろん、受取時に退職所得控除や年金控除など節税策があるので、大きな枠で捉えれば節税になる人のほうが多いとは思います。
そのあたりの複雑な部分についても解説していきます。
iDeCoのデメリット
- 60歳になるまで受け取れない資金拘束
- 受取り方によってはメリットを十分に得られない
iDeCoの最大のデメリットは、60歳まで受取ることができない資金拘束だと思っています。
年金制度なので、当たり前といえば当たり前ですね。
ただ、今後のライフイベントによって大きなお金が必要になるかもしれない現役世代にとって、手元に困ったときに使えるお金を残しておくことも大事ですし、手元資金があると思うだけでも安心していられます。
これはある程度の資産を築くと実感されるのではないかと思います。
金額は人にもよるかもしれませんが、私の場合は感覚的に資産額が1,500万円を超えたあたりから、お金に対する不安が激減したように思います。
これは1500万円を自分で貯めることが出来たこと、長い時間をかける中で運用益が積み重なったことで暴落への耐性が出来たためだと思います。
資産運用は増やすことが目的ではなく、自分にとって心地よい生活を得るための手段のようなものだと思っているので、運用効率が多少悪くなっても、手元資金の確保は必要だと思います。
また、受取時には課税されますが、受取り方として、『退職時に一括で受け取る方法』、『定期的に年金として受け取る方法』、『退職時に一部を受け取り、残額を年金として定期的に受け取る方法』の3つの方法があり、それぞれ得られる税額控除制度が異なるため、受取り方によっては十分なメリットを得られない可能性があります。
iDeCoの受け取り方
iDeCoの受け取り方についてまとめると以下の3つの受け取り方と控除があります。
- 退職時に一括で受け取る 👉退職所得控除
- 定期的に受け取る(年金) 👉公的年金等控除
- 退職時に一部を受け取り、残額を定期的に受け取る 👉退職所得控除+公的年金等控除
では、実際に自分にとってメリットのある受け取り方はどんな場合なのかケース分けしていきます。
想定されるケース | 具体例 | メリットのある受け取り方 |
将来もらえる退職金が少ない場合 | 退職金の額+iDeCoの受取額≦退職所得控除額+α | ①iDeCoを退職時に受け取ることで退職所得控除のメリットあり |
将来もらえる退職金が多い場合 | 年金受給額が少ない場合 (現在の毎月の給料>>退職後の年金受給額) |
②iDeCoの年金受給メリットがあるかも |
年金受給額が現在の所得より少ない場合 | ③退職所得控除1800万上限+α(税率が上がらない範囲など)までは退職金を含めて一括で受取り、残りは年金として受け取ることでメリットあるかも |
控除というお話がこれまで出てきましたが、退職所得控除と年金等控除、なんだか節税になりそうな制度のようですが、実際にはどのようなものなのでしょうか。
例えば、掛金が毎月1万円で、所得税(20%)・住民税(10%)の税率の場合、年間36,000円、税が軽減されます。
(参照元:iDeCo公式サイトパンフレット)
退職所得控除とは、退職により受ける退職手当などの所得に対する控除のことで、退職に起因して支給される一時金や、確定拠出年金法に規定されて支給される一時金なども退職所得とみなされます。退職所得控除の計算方法次の表のとおりです。
勤続年数(=A) | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万円 × A (80万円に満たない場合には、80万円) |
20年超 | 800万円 + 70万円 × (A – 20年) |
(参照元:国税庁タックスアンサー退職金を受け取ったとき(退職所得))
公的年金の所得控除額は年金の所得額などにより控除額が異なり複雑なため、ここでは割愛しますが、国税庁のHPなどをご確認いただければと思います。
今回、私がiDeCoを始めようと思った決め手
ここまで解説してきましたが、iDeCoというはなかなか複雑な制度だという感想を持たれたのではないでしょうか。
私が今回iDeCoを始めようと思った決め手を端的に言ってしまうと、以下の2点になります。
- 新しいNISAの枠の1800万円を満額埋められる見込みがついたこと
- 給与収入がある程度上がり、将来の年金受給見込み額よりも大きい税額控除メリットが見込める事
私は人生を楽しむことにせよ、資産運用にせよ、自分の中の引き出しを少しずつ増やしていくことが、豊かで安定した人生を過ごしていくために必要な事だと思っています。
決め手になる資産額や状況は人それぞれだと思いますので、皆さまが充実した人生を過ごすための手助けになれば良いなと思います。
まとめ
現状、私の場合は将来、ある程度の退職金や年金を受け取れると見込めんでいるため、急いでiDeCoで運用する必要はないと思っています。
ただ、現役時代の所得税が控除となった分の余剰資金をさらなる投資に回せることは、資産運用のスピードをアップしていくうえで、私にとっては大きなメリットであると考えています。
私の場合は新しいNISAもある程度満額まで埋められる見込みがあること、税額控除された分を投資に回すことで資産運用の効率アップにつながると思い、iDeCoの活用を始めることにしました。
一般的にはそこまで無理せずとも、新しいNISAを優先し、退職が近づいてiDeCoのメリットが、十分に見えた段階で、退職所得控除や年金等控除のメリットを確実に狙っていくという方法もありますね。
iDeCoには預貯金という選択肢もあるため、受け取り時期によっては預貯金などリスクの低い方法で節税メリットを得るのも一案かと思います。
iDeCoに関してはかなり複雑ですが、単に税制面でのメリットだけを考えれば多くの方にとってお得な制度であると思います。
上手に活用して、税額控除のメリットを得ていきたいものです。
今回の記事が皆様にとって、ムリせず、心地よい資産運用の手助けになれば幸いです。
本記事は私の経験を述べたものであり、投資推奨ではございませんが、私の経験が何かしら参考になれば幸いです。投資判断はご自身の判断で行ってくださいね。